グリザイユ画法でイラストを描くポイント
カテゴリー: イラスト
CG事業部でキャラクターのディレクションと制作をしております、manacoです。 私からは主にキャラの制作や人体デッサンについて触れていきたいと思います。お役に立てますと幸いです。 今回はグリザイユ画法のポイントについてご紹介したいと思います。 デジタルで絵を描く人にも最近は馴染み深い『グリザイユ画法』。 でも「なんだか立体感が無い」「色が綺麗じゃない」など思い通りに行かないこともあるのではないでしょうか。
まずはおさらい『グリザイユ画法』って?
グリザイユ画法はモノクロの絵の上にベタ塗りを乗せて絵を仕上げる技法です。
陰影の描写に集中できるので立体感ある表現ができます。
実際に描いてみました。まずはモノクロ絵を用意します。
次に、パーツごとに単色で塗ったレイヤーをモノクロレイヤーの上に乗せます。
デジタルではレイヤーモードを『オーバーレイ』にして乗せるのが一般的です。
これで完成!…でもちょっと白飛びし過ぎですね。
色も濁ってるような気がします。
グリザイユ画法でよくある問題
色を乗せたはいいけど、絵全体が白飛びし過ぎ・色が濁るなどの問題が起きやすいです。
それぞれ解決する方法をご紹介します。
◆絵全体が白飛びしたように見える
白飛びは物の固有色(物体そのものが持つ色)を意識できていないために起きる問題です。
陰影の描写に集中できるとは言っても、固有色を意識できないとリアルには仕上がりません。
→オーバーレイとモノクロの間に、薄い乗算を挟む。
乗算を挟むと白飛びする部分に色が付いて、コントラストが強く眩しい印象を抑えられます。
◆色が濁って暗く見える
グリザイユ画法は黒色(モノクロ)が混ざる以上、色が濁るのは仕方ありません。
→モノクロレイヤーに色味をつければ緩和されます。
茶色→肌色と馴染んで、暖かみがあり絵画のような印象になります。
青色→空気感があり、肌色が際立ちます。ミステリアスな雰囲気になりますね。
今回は茶ベースで続きを描いていきます。
単色で塗った上に影をつける
単色オーバーレイの上からさらに陰影の濃淡をつけることで色に変化が出て、のっぺり感が無くなります。
モノクロレイヤーで陰影は既に描写しているので適当に塗っただけでも、グッと立体感が増します。
さらに描き込んでクオリティアップ
上から追加修正と書き込みをして、もっと絵のクオリティを上げましょう。
描き込む部分は、顔・手・手前の物体など目立つ部分だけでも大丈夫です。
モノクロレイヤーである程度描写しているので、それ以外の部分に手を入れなくても、
「一部が描けていない」「手抜き感がある」ように見えません。
最後にテクスチャを貼ったり色補正をして完成です。
レイヤーモードと描き方で工夫しよう
とても便利なグリザイユ画法ですが、この技法のみで仕上げられた絵というのは少ないです。
『モノクロ=白黒』という事にこだわらず、セピア色にしたり上から描き込んだりして完成度を
上げましょう。
普段、線画と色塗りで分ける描き方の人には慣れないかもしれませんが
キャラだけでなく、背景画にも重宝するので是非とも試して欲しい描き方です。