ブログ記事:影の基本
カテゴリー: イラストテクニック
デジタルでの影の塗りを 原理を元に基本的な部分から解説していきます。
はじめに
実践および解説
人体に影をつけるとき、エアブラシツールだけを用いるなどして
満遍なく境界のエッジをボカすと印象もぼやけ、形状がわかりにくくリアルさに欠けます。
上の図は極端な例ですが、絵を描き始め影を意識しだしたころには
モチーフのディテールにこだわるあまり全体の陰影のまとまりがおろそかになり
似たような印象になることはままあります。
ほとんどエッジをぼかさないアニメ塗りなどもありますが、
むしろアニメ塗りは光と影の原理を理解した上で
省略し効果的に見せる意味では非常に難しく高等な技術と言えます。
よりリアルに塗るときはもう少し工夫が必要です。
物体にできる影の原理を把握して応用することで、リアルさが増すことができます。
物体が光を受けて影ができる状態を簡単に表すと以下のようになります。
明確な角では影にも明確な色の差が見られ、曲線ではグラデーションができ
また物体が光を遮ることで別の物体に出来る影(いわゆる落ち影)は
物体同士の距離が近いほどそのエッジははっきりしています。
正確にはこういった影の様子を視覚で見て、
人間は物体の質感や距離を把握・推測している、ということになります。
紹介した影の付き方を踏まえ、
改めて人体トルソーの影の塗りを調整すると次のようになります。
影の描き分けによって要素の密度が増し
絵としてもより見栄えのするものになったかと思います。
また人体ではとくに首の下や脇まわりなど、それぞれの部位が密着する部分があります。
こういった部分に濃い影を作るだけでもグッとメリハリを出すことができます。
最後に
現実では物体そのものの表面や透明度、
物体同士が光を反射し光源となることによるいわゆる環境光、反射光などを
シチュエーションでそれぞれ考慮しなければならず、光と影の相互作用は非常に複雑です。
今回紹介したものはそれら複雑な構成要素のほんの一部を簡単に解説したに過ぎません。
ぜひ実際の観察や、様々な資料・解説から学んで自分でも研究してみてください。