「計画的なコマ割り方法―パターンを覚えた!でもそのあとは?―」3
カテゴリー: テクニック
こちらの記事では【計画的なコマ割り方法】についてお話しします。 4章タイトルの「コマ割りは知っているけどコマ割りができない」のとおり、 悩んでいる人は多いのではないのでしょうか。 今回はその対処法を教えます。
第4章 コマ割りは知っているけど、コマ割りができない
コマ割りテンプレートは描画ソフトだったり、いろんなサイトや書籍で公開されてます。
ですが、「自分の漫画を描くときに上手く使えない」
となることはありませんか?
四コマと違って、ストーリー漫画はオーダーメイドの靴のように、その人の作品によってふさわしいコマ割りが違います。
なので、テンプレートを見ても上手くコマが割れない、となってしまいます。
では自分の作品にふさわしいコマ割りをするには、どんなところに気をつけたら良いのでしょうか。
それは、コマ割りをする前に何を描くのか決める、です。
1:どのシーンを一番見せたいのか決める
サンプルとして、誰でも知ってる童話「赤ずきんちゃん」を例に考えていきます。
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物語の一番の見せ場
狼から赤ずきんちゃんとおばあさんを救うシーン
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読者が楽しむ要素
いたいけな少女とお婆さんを窮地から救い、悪い狼が敗れる痛快さ
以上を踏まえて、このシーンで一番読者の気持ちが盛り上がるように作っていきます。
2:一番見せたいシーンを、盛り上げるために必要なシーンを決める
「悪い狼が負ける」
「赤ずきんちゃんとおばあさんが救われる」
この二つが物語で重要な部分となりました。
では、ここを盛り上げるために読者に見せる必要があるシーンを決めましょう。
A:狼が、赤ずきんちゃんや、おばあさんを騙すシーン
(狼=悪者 という印象があって痛快になる)
B:赤ずきんちゃん(おばあさん)がおばあさん(赤ずきん)を想いやるシーン
(善人である二人が犠牲になる、ということで読者も狼をなんとかしなければ!という気持ちが高まります)
C:そのほか、物語を理解するため必要になる場面
(おばあさんと赤ずきんちゃんの関係がわかるシーン
猟師が出てくるシーン
場面転換があるシーン)
ABCの三種類、必要なシーンが決まりました。
では読者にはどんな狙いを持って伝えたら良いのか考えましょう。
3:描かなければならないページを決める
A→狼が二人を騙し、読者がそれにハラハラするように演出したい
(狼の表情や話術をしっかり描きたい)
B→赤ずきんちゃんとおばあさんの仲が良く、二人に感情移入できるよう演出したい
C→情報を理解しやすいようにしたい
(文字数を増やしすぎない、背景をしっかり描く等)
このように描かなければならないページが見えてきたら、
それに合ったコマを配置するようにします。
そのページの目的や狙いを見つけ、それにふさわしいコマは何か、
まで考えられたらコマ割りの半分はできたようなものです。
ただし、これは一つの例です。
人によっては、
「最初に描く内容を決めるより、その場で考えながら描くほうがいい」
という場合があります。
その場合は、無理してこのやり方で決めずに、自分の進めやすい方法でコマ割りをしてください。
【今回のポイント】
・コマ割りをする前に何を描くのか決める
・どのシーンを一番見せたいのか決める
・一番見せたいシーンを盛り上げるために必要なページを決める
・狙いを絞ったら、狙いに合わせたコマを配置する
いかがでしょうか。
このように的を絞って考えていくと、どんな表現が必要になるか見えてきて、
コマ割りが考えやすくなっていきます
では、次回はそれぞれの狙いに合ったコマとはどんなものか説明していきます。